例えばこんな、ウルトラマンメビウス外伝 エピローグ③
【あるぅ日、森の中っっ♪ ミクラスに、出会ぁ~た♪(仮)】
作:☆ノちゃびじろー
翌朝早く、ミライはコッソリ起き出し、バン船長宅を後にした。門を前に、深々とお辞儀をしながら、小さく呟く。
ミライ「・・・みなさん、本当にありがとうございました。地球はボクにとっても、第二の故郷です。本当に、本当にありがとうございました!」
リュウ「また、黙って行くつもりだったのか・・・?」
ジョージ「水くさいヤツだな、アミーゴ。」
驚いてミライが振り返ると、いつの間にか、クルーガイズ一行が勢揃いしていた。サコミズとリュウ以外は、それぞれ自分のユニフォームで身を固めていた。
マリナ「ミライ君のお陰で、良い休暇になったわ。」
コノミ「ホント、楽しかったぁ~~♪ みんな揃うなんて、久しぶりだったもんねぇ~~♡」
テッペイ「そうですよね。訓練でも無いのに、いきなり呼び出されて、何だろう・・・って思ってたら、ミライ君がやって来たんですから、驚きました・・・。」
そこまで言って、ハッと何かに気付くテッペイ。仲間達は、訝(いぶか)しそうな表情で、テッペイを見つめている。
テッペイ「・・・ひょっとして・・・隊長はミライ君の来る日を知っていたんじゃないですか・・・?」
サコミズ「私じゃないよ・・・フジサワ博士がね、教えてくれたんだ。『近々、不思議ちゃんが戻るかもよ~♪』ってね。彼女、異次元物理学の第一人者だからね・・・。」
ミクラス捕獲部隊の四人が固まる・・・そして、本能的に、サコミズが・・・いや、自分達もフジサワ博士には、太刀打ち出来ない事を悟った・・・。
サコミズ「そんな事より、ミライ、体調には十分注意するんだよ。」
ミライ「はい、ありがとうございます。」
コノミ「今度はいつ、遊びに来られそう?」
マリナ「また、いつでも顔を見せに来なさいよね?」
ミライは曖昧(あいまい)に・・・少し困ったように微笑むだけだった。ウソは吐けない・・・けれど、本当の事も話せない・・・そんな時に見せる、ミライの癖だった。
リュウ「なんだよ、また、いきなりヒョイと現れて、オレ達を驚かせるつもりかよ?」
ジョージ「ま、そう言うサプライズは、いつだって歓迎するがな。」
テッペイ「そうですね、次は今回以上に盛り上がりましょうよ!」
努めて明るく振る舞うリュウ達。【笑顔でミライを送りだそう!】・・・それは、今朝ここに来る前に決めた、ミライのための最終ミッションだった。
それは、昨夜遅く、カコからサコミズに『今日、ミライ兄さんがコッソリ帰っちゃいそう・・・』との連絡が入り、急いで隊員達を集めた時、決めた事だった。
テレパシーは心と心を直接つなぐ。そのため、話す以上に相手の気持ちが判りやすくなるのだ。サイコキノ星人のカコは、特にその能力が強いので、ミライが必死に隠していた『さようなら』の言葉も、敏感に感じ取ってしまったのだ。
サコミズ「よし、みんな、記念写真でも撮ろうか。」
一同「G.I.G!」
テッペイが手際よく三脚を立て、デジカメをセットする。その間に他の仲間達は二列に並ぶ。前列は左から、マリナ、ミライ、コノミ。後列は左から、リュウ、サコミズ、ジョージ、テッペイ。
ファインダー越しに、ミライを中心にまとまるように指示し、テッペイはセルフタイマーのスイッチを入れた。テッペイが列に戻り、各々がそれぞれポーズを決めた。タイマーの点滅が早まった時、
サコミズ「ガイズ、笑顔で・・・Sally GO!」
一同「G.I.Gぃ~~!」
仲間達の笑顔が揃った瞬間、マリナとコノミがミライの頬に、キスをした! ミライの目が真ん丸に見開いた・・・と同時に、『カシャッ!』と、シャッター音。
マリナ「ミライ君が帰って来た時、驚かされたお返しよ♪」
コノミ「ねぇ~~~♡」
照れて、顔を真っ赤に染め上げるミライと、それを見て、大笑いする仲間達。テッペイは、今写したばかりの写真をプリントアウトし、みんなに配った。
そして、その時がやって来た。リュウはミライの肩を抱き、胸元をポンと叩くと、
リュウ「たまには里帰りしに来いよ。順番なんざ、どうでも良い。地球(ここ)はお前の故郷なんだからよ。」
リュウが離れると、ジョージが同じようにミライと肩を組み、
ジョージ「元気でな、また会おうぜ、アミーゴ。今度こそ、美味いパエリヤ食わせてやるからよ。」
ジョージの次はテッペイがミライと両手握手だ。
テッペイ「無理し過ぎないようにね。キミは自分の体を省みないから、医者として心配だよ・・・でも、まぁ、また会う日まで、お元気で!」
マリナとコノミも、順番に両手でしっかり握手した。
マリナ「なに、まだ照れてるのよ?! そんなに嬉しかった? じゃあ、また今度来た時にもしてあげるわ♪ 元気でネ♡」
コノミ「またね、ミライ君。楽しい思い出ありがとう♡」
誰も『さよなら』は言わなかった・・・いや、言えなかった。言えばミッションが失敗しそうで・・・。
サコミズ「ミライ、元気で頑張るんだぞ。どんなに離れた所にいても、私達はファイヤーシンボルで結ばれた、掛け替えのない仲間なんだからね。」
そう言ってサコミズは、胸ポケットからMD(メモリーディスプレイ)を取り出した。それは三年前、ミライが使っていたMDだった。
ミライが地球から去る時に、サコミズに返したMDを、何度かモデルチェンジした後も、サコミズは使い続けていたのだ。
他の仲間達も、手に手に、ミライからもらったお守りを取り出した。どれも少々くたびれてはいたが、それは、肌身離さず持っていた証し・・・。
ミライが嬉しそうに・・・本当に嬉しそうに微笑んだ。涙が一筋、二筋流れた・・・それでもその笑顔は輝くばかりだった・・・。
ミライ「みなさん、本当にありがとうございました!」
ミライは笑顔のまま、光に包まれていった・・・。やがて、大きな光の塊となったミライは、ゆっくり大地から離れていった・・・。
マリナ&コノミ「いってらっしゃ~~~~い!!」
リュウ達「またな~~~~!ミライ~~~~!!」
旅立つミライ、見送る仲間達。いつかまた会える未来を信じて、仲間達はいつまでも手を振り続けた。みんな、輝く笑顔のままで・・・。
本当に、お・わ・り
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